特定の医療行為が可能な海外の看護師制度、ナース・プラクティショナーに迫る!

資格を紹介!看護師のスキルアップサポート

医療行為も行える海外の資格

アメリカのナース・プラクティショナー

ナース・プラクティショナー(NP)とは、主にアメリカで導入されている資格制度で、アメリカの看護資格の中でも上位の資格です。この資格の大きな特徴は、医師と同じように、看護師が一定範囲の診断・治療・薬の処方を行えるところ。医師と看護師の中間的役割として重宝されており、臨機応変な幅広いケアを実施しています。近年では、オーストラリア・カナダ・イギリスなどの国もこの制度を導入しています。
アメリカでは、NPの医療行為の範囲が州によって異なりますが、中には手術以外であればほとんど対応可能なエリアもあり、医療と看護の両方を極めることができる資格だといえます。
医療の分野を学びたい方、海外の活動を視野に入れている方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょう?
ちなみにアメリカでNPを目指すには、現地で一定の看護経験を経て専門大学院に入り学位を取得し、試験に合格する必要があります。

日本のナース・プラクティショナー「診療看護師(NP)」

◆認定機関:日本NP教育大学院協議会
◆受験資格:以下の2つのいずれかの条件をクリアすること
(1)国内の看護系大学大学院のNP養成コース修了者/修了予定者
(2)海外のNP免許取得者

海外のNP制度を見習い、日本でも導入されたのがこの診療看護師(NP)という民間資格。現在日本では、NPは厚生労働省の認定がされておらず、国家資格は存在していません。
診療看護師(NP)はアメリカのNPほど広い範囲の医療行為はできませんが、対応可能な医療行為の一例として

・人工呼吸器の設定・離脱
・脱水症状患者への輸液の補正
・感染の兆候がある患者の検査・薬剤投与
といったものがあります。

ナース・プラクティショナーの日本での位置づけと実情

超高齢化社会が迫る日本において、医療ができる人材の確保が急がれています。そんな中で、医療行為ができる看護師の必要性の声が挙がっているのも事実です。
しかし、その現状に対して日本医師会では「問題の本質は医師不足にある」という見解を持っており、医療の安全性・質を考慮した上でNPの導入に反対しています。このように、NPを求める現場の声と医師会側の意見がまとまらないことから、NPの導入には至っていません。

こうした状況を踏まえ、厚生労働省は特定の医療行為ができる特定看護師(仮称)の導入を検討し、「特定行為に係る看護師の研修制度」という制度を打ち出しました。
この研修制度を受けることで、看護師は医師の手順書に沿った特定の診療であれば、自分で対応することができるようになります。
しかし、この研修を受ければ独自の判断で医療行為ができるという訳ではなく、あくまで医師の指示の手順書の元で動くことになるため、日本で「医療行為ができる看護師」という在り方は実質的に認められていないといえます。

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